日本で酒蔵に訪れたことがあれば、軒先にある大きな玉を見たことがあるのではないでしょうか。
これは杉玉と言って、昔から酒蔵と密接な関係を持っています。
この記事では、そんな杉玉について、役割や歴史を紹介していきたいと思います。
杉玉とは

杉玉とは、杉の葉をボール状にしたものです。
別名「酒林」とも言います。
大きさは様々で、直径が30~50センチのものが一般的ですが、大きいものでは直径が1.7メートルのものもあります。
杉玉の役割
酒蔵であることを知らせる
杉玉は酒蔵のシンボルであるため、看板のように、見た人が誰でもわかるように軒先に吊り下げてあります。
酒の神様に祈りを捧げる
単に看板のように使うのではなく、杉玉には、新酒ができたことに感謝し、酒造りの安全や商売繁盛を祈願する意味も込められています。
お酒の熟成具合を知らせる
日本酒は通常、秋から冬に仕込みを行い、2月から3月には販売が始まります。
酒蔵では、この新酒の販売の時期に合わせて新しい杉玉を軒先に吊り下げます。
新しい杉玉は緑色をしていますが、月日が経つにつれ、茶色く変色をしていきます。
この色の変化にもきちんと意味があります。
緑の杉玉は新酒が出来上がったことを知らせ、色が茶色くなるほど、酒の熟成が進んでいることを示しているのです。
杉玉の歴史

杉玉の歴史には諸説ありますが、一説によると、奈良県にある大神神社が深く関係しているようです。
この神社では、その昔、神事の際に供える酒を作っていました。
そしてその裏にある三輪山という山は、大神神社のご神体とされており、杉が神木とされていました。
その杉の葉を束ねて、酒蔵の軒先に吊るす風習が杉玉の起源と言われています。
江戸時代中期になると、杉の葉を鼓状に束ねた「酒林」というものが作られ、酒蔵の看板として使われるようになりました。
その後、江戸時代後期には現在のような玉状の「杉玉」が作られるようになったとされています。
元々、全国の酒蔵には、三輪山の杉で作られた杉玉が飾られていたそうですが、現在は自分たちで作ったり、業者から仕入れたりすることがほとんどだそうです。
【参考サイト】
・Sake Vivo
・なかのの酒蔵
・胡蝶楽群遊
この記事を読んでいただき、ありがとうございました。
この記事を面白いと思った方は、是非いいねとSNSでのシェアをお願い致します。
感想や質問があれば、コメントをお願いいたします。